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木の畑
2022.02.01 G-BASE田町

人と同じで、木の姿や育ち方もさまざま、1本ずつ異なります。「3つ子の魂100」までと言いますが、木もまさしく、幼木の延長上に成木の姿が想像できます。設計に使う素材一つ一つに個性があるのは、工業製品と大きく異なる点です。

自分の担当するプロジェクトでは、監理段階で材料検査を行い、植える木のほぼすべての木を目で見て選びます。(樹林を作るときには、200本以上の木をすべて確認することもあります。)「木の畑」をイメージしてもらえたらと思いますが、圃場といって、木が整列し、植えられている場所があるのです。 そこで、1本ずつ木を360度見て触って、選びます。選ぶと、植木業者がテープを巻いて、樹木を確保。現場での植え付け時にトラックで搬入してきてくれる、という流れ。

材料検査で木を見ていると、ここに植え直そう、こう仕立てて見よう、組み合わせようといろんな発想が出てくるので、部分変更を数々行います。あとは実際に樹木が現場に搬入された折に、木を回転させたり、仕立てを部分的変えたり、その場でニワを作っていきます。いくら図面上で想像していても、現場に立って、実際に植える木を見ると、イメージと現実のギャップを埋めたくなってきます。

ちなみに、木の畑がある場所はさまざま。田園地帯の沿道だったり、山の中だったり。基本的は長靴で移動するので、作業着が一番。動きやすい服装で、ぐんぐんと木の間をかき分けて選びます。
美人な木、個性の強い木、群にすると特徴が生まれそうな木・・・アイディアを練りながら木を選ぶ過程は楽しい。実際に選ぶ木は幼木ではなく、植え付け時を想定した成木ですが、成長の仕方はおよそ想像できるので、5~10年後を見据えて「今」を作るようにしています。風景の変化を前提した、ランドスケープの醍醐味です。